golden-luckyの日記

ツイッターより長くなるやつ

出版社を作って4年が経ちました

ラムダノートという出版社を作って4年が経ちました。

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www.lambdanote.com

去年に引き続き、今年もちょっとふりかえりをしてみます。 この記事はラムダノートの技術 Advent Calendar 2019の25日めのエントリーです。

第4期(2018年12月~2019年11月)のふりかえり

『n月刊ラムダノート』はじめました

今年は『n月刊ラムダノート』という不定期刊行誌を3月に発行し始めました。 去年のふりかえりで第4期の目標として掲げていた「単発の本じゃない形で濃い技術情報をお届けする新企画」は、これのことです。

ぶっちゃけ、技術書、読むの大変じゃないですか? 正直なところ、作るほうもかなり大変です。 技術書に限らず、いま出版社が次々に新刊を出しているのは、半ば商売を維持するためという構造的な側面があります(それだけが理由ではないです)。 読む人も作る人もさまざまな無理感を抱いているなかで、それに飲まれるのはつらい。

そもそも、技術書を読んだり作ったりするというのは、そんな悲壮感が漂う行為ではなかったはずです。 実際、同じように読む人も作る人も大変という状況にあっても、その限界な状況をお互いが楽しめる場もあるのだと知りました。 いわゆる技術書典というやつです。 そこで感じた「こういうのでいいんだよこういうので」に対する技術書を作ってきた側としての試みが『n月刊ラムダノート』だとも言えます。

そもそも執筆してくれる人を募るところから不安でいっぱいでしたが、ありがたいことにエッジな方々から記事を寄せていただけて、1年めのVol.1は「No.3」まで出すことができました! こうやって一覧するだけでどれも読みたくなりますね。

Vol.1, No.3(ワインレッド)
  1. 代数的データ型とパターンマッチの基礎(κeen)
  2. パターンマッチ in Ruby(辻本和樹)
Vol.1, No.2(ミカンオレンジ)
  1. LISP 1.5の風景(川合史朗
  2. 計算機科学から見たディープラーニング(今井健男)
  3. Q#で始める量子プログラミング(田中孝佳)
Vol.1, No.1(セルリアンブルー)
  1. TCPの再送制御機構(西田佳史)
  2. 「コルーチン」とは何だったのか?(遠藤侑介)
  3. MLOps の歩き方(有賀康顕)

いまは次号に向けた準備をしています。 完全にぼくがボトルネックな状態になっており、すでに原稿を頂いている皆様には本当に申し訳ありませんが、引き続きよろしくお願いいたします 🙇‍♀️

とはいえ、企画が余っているという状態ではまったくないので、すでに執筆をお願いしている方、寄稿したら面白そうなネタがあるという方、寄稿させたい人がいるから紹介するという方、次の次の号あたりの掲載を目指してぜひご連絡ください。

www.lambdanote.com

なお、『n月刊ラムダノート』は現在のところ自社サイト直販のみ送料無料という販売方法をとっており、書店での販売はしていません。 が、これはテクニカルな問題によるもので、この販売方法にこだわっているというわけでもなく、もし取り扱いたいという書店さまがいたらご相談ください。 今期はいろいろ模索していきたいと思います。

あと、いちばん重要なことですが、紙版は在庫いっぱいなのでぜひお早めにご注文ください。 宅配便ではなくポスト投函ということもあって年末年始のお届けはもう無理なのですが、「お正月には電子版で読んで紙は年始に届いたのを会社にもっていく」とかどうでしょう!

技術書典7に落ちた

落ちるんですね…。 その日だけ半ば思いつきで電子版半額セールをしたのですが、予想を大きく超える数の注文を頂きました。本当にありがとうございました。 この規模の割引セールをする余裕はあまりないのですが、これを機に当社の存在を知ってもらえたような気もするので、率直にうれしかったです。

個人的には、セール中に技術書典7の運営のお手伝いをしていたので、サーバ(ShopifyでなくPDFを生成配信してるほう)が落ちないかはらはらだったよ…。

現金が足りなくなりそうになった

落選セールの売り上げがなかったらまじでまずかった。 綱渡りが続きます。

新刊は『プログラミングHaskell 第2版』

いろいろあって(主に訳者の @kazu_yamamoto さんのおかげ)、当社から「第2版」を出せました!

プログラミングHaskell 第2版(紙書籍+電子書籍)www.lambdanote.com

この本には個人的にはやはり思い入れがあり(前の会社で携わった本にはどれも思い入れがありますが)、とくに「改良したい」と思っていたところを改良できてよかったです。 完全に新しい本になっているので、旧版を持っている方にも価値があると思います(旧版の知識だけで現在のHaskellの型クラスを理解するのは厳しいと思う)。

ただ、『n月刊ラムダノート』をがんばっていたのもあり、第4期の書籍新刊はこの1タイトルのみでした。 このへんが経営的な課題としてあるのかもしれませんが、新刊をたくさん出さなくても生きのこる出版社を目指します。

第5期(2019年12月~)

そんなわけでラムダノートは第4期をなんとか生き延び、2019年12月から第5期に入りました。 年初にいきなり役員借入金(経営者から会社への資金貸し出し)が発生するらしい(白目)。 ただ、こちらのうかつなツイートに対してほんとにたくさんの応援を頂き、幸いにも必要な金額はだいぶ少額になりました。ありがとうございました!

最後に、来期は「いろいろな意味でうちでしか作れないであろう本」をいくつか発表できそうです。 お楽しみに!