golden-luckyの日記

ツイッターより長くなるやつ

ラムダノート第8期を迎えました

2015年12月に自分で出版社を立ち上げたとき、うっすらと決めていた覚悟は、「ひとまず10年は続ける」でした。

それまで15年くらい、技術系版元として歴史も規模もそこそこある出版社で企画編集をやっていたので、「だいたい何部くらい売れれば一人なら食っていける」といった程度の雑な算段はあったものの、かっちりした事業計画があったわけでもなく、「まあ、しばらくは前職の退職金を食いつぶしながら最初の何冊かを作ればいいかな」などと気軽に考えながら、むかし作った本の読者だったり有識者レビュアーだったりでお世話になっていた時雨堂という会社に遊びにいき、そんな浮ついた起業計画を雑談のつもりでしたら、社長の @voluntus に「お金出すよ」と言われ、「えっ」って戸惑っているうちに税理士さんを紹介してもらい、定款ができて、気づいたら ラムダノートという出版社 ができていました。

あれから満7年。2022年12月にラムダノートは第8期を迎えることになりました。会社をスタートできたのは時雨堂のおかげ、本を出せたのは著者や訳者のおかげ、なによりもこうして「本を売ってやっていく」ができているのは本を買ってくれる読者のおかげです。

10年という当初のぼんやりした目標まではもうひと頑張りありますが、よく考えたらコンピューターとネットワークの出版社なんだから節目の基数は2であるべきだし、1000_2周年をむかえるこのタイミングで感謝祭として大セールをやっています。協賛は再び時雨堂です。クーポンコード「時雨堂と一緒にラムダノートの8周年突入をお祝いしよう!」を入力すると電子書籍がほぼすべて半額。ほんとうにありがとうございます。

余談ですが、この「クーポンコードによる宣伝」という協賛の企画を思いついたのも時雨堂社長の @voluntus です。天才かと思った。

このクーポンコードの文字列「時雨堂と一緒にラムダノートの8周年突入をお祝いしよう!」は、お買い物で使ってもらうたびに当社のバックヤードに流れるので、みなさんにお祝いしてもらっている感も半端ありません。ほんとうにほんとうにありがとうございます。

さて、今回の大セールは12月19日まで引き続き開催中なので、ふりかえりにはちょっと気が早いのですが、今日までの段階で個人的に感じたいろいろをいったんダンプしておこうと思います。

セールの効果1:売り上げがすごい

ある程度は期待していた部分ではあるのですが、すでに直販サイトの平均的な売り上げの数か月分に達しています。おかげで、おそらく創業以来はじめて、期初の現金にやや余裕がある状態を迎えることができそうです。だいたい毎年、年末から年初にかけて現金が枯渇するのですよね…。当社の支払いサイクルの事情ではあるのですが、1月~2月と8月~9月にまとまった現金が必要で、メンタルがつらい。今年は例年になく穏やかな気持ちで正月を迎えられそうです。キーボードつくろうかな。

セールの効果2:潜在需要がすごい

売り上げについては、実は怖い気持ちもあって、「これ、来月からみんな本買ってくれないんじゃないかな…」という。アパレル系は年2回のセールで年間の売り上げを稼ぎ出すというし、電子書籍の世界でも半額セールや無料セールを定期的にやっているし、これはもうそういうものと考えるべきなのかもしれないけれど、セールをやるとわかっているショップではどうしたってセールを待ってしまいますよね…。当社の直販サイトでこれからセールを定期的にやるつもりはまったくないのですが、これだけ長期間のセールをやっていると、潜在的にラムダノートの本に興味があった人がすべて本を手にしてしまうかもしれない。

しかし、これは逆に考えると、「潜在的にラムダノートの本に興味があった人」がこんなにいたのかという素朴な驚きでもありました。専門書の編集者みたいな仕事を長年していると、「需要は限られている」という意識が骨の髄までしみついていて、ついつい実売部数についても「こんなものだろう」で思考停止してしまうんですが、そんなことなかったんだなあと。いつもよりお得っていう効果はあるにせよ、そもそも興味がないものに払えるお金はゼロ円なわけで、需要がしっかりあるという事実を目の当たりにさせてもらいました。

セールの効果3:知ってもらえた、思い出してもらえた

潜在需要が見えた背景には2つの要因があると考えています。1つは、当社が本として販売している情報に対価を払う意思はあったけど、それを当社で買えるという事実にそもそも気づいていなかった人がいたということ。もう1つは、当社で売ってる本のことは知っていたけど、買う機会を逃していた人がいたということ。いずれも、セールをやる前から「そういう人もいるだろうなあ」とぼんやりは想像していたわけですが、実際にセールを開始した後のツイッターなどの反響や、いわゆる直販サイトへのセッション流入数やコンバージョン率の上昇、まったく新規のお客様の割合などから類推するに、ぜんぜん想像以上でした。今回のセールは、短期での売り上げや、協賛の時雨堂を知ってもらう機会になったのみならず、「ラムダノート」という出版社の名前を知る人を中長期でかなり増やしてくれたのだろうなと実感しています。忘れないでね!

セールの効果4:刺激

当社としては、今回のセールを機に当社を新しく知ってもらった人や思い出してくれた人は、これから「当社が出す本」に期待していただいている状態だと考えています。正直なところ、丸7年間走りっぱなしだったので個人的にはちょっとお疲れ気味ではあるのですが、ここでめげずに新しい企画をやっていくぞという気持ちをセールへの反響や「時雨堂と一緒にラムダノートの8周年突入をお祝いしよう!」というクーポンの文字列に支えてもらっている自覚があります。まだセール期間が1週間あるので、引き続きどんどんご利用ください! あと、これからまたべらぼうに面白い新刊も出していくので、セール終了後も引き続き新刊情報をお見逃しなく! 今年は結局新刊を出せなかったn月刊ラムダノートもやるよ! 新刊情報については、メールとかはしていないので、 公式Twitter もしくは 直販サイトのお知らせページRSS購読してね。