golden-luckyの日記

ツイッターより長くなるやつ

名が知れている人であれば出版社を使わずに自分で印刷製本して流通させたほう儲かるかもよという記事(もはや出版社より同人誌のほうがいい時代じゃないですかねっていう|yuukee|note)があって、人やジャンルによってはもちろんそうだよね、西野氏の話が引き合いに出されてるから、そういうジャンル(どういうジャンル)の本だと特にそういう傾向あるよねと思って読んでたら、なんと「技術書とかハウツー本」が想定されていたらしく、まさにその技術書というジャンルで、これは西野氏がやったような無料公開みたいなのが数十年前から事例としてあったようなジャンルで、そのジャンルで出版社(編集者じゃないよ)をやっている身としては、おまえいま「技術書とか」って適当に言ったろ、という気持ちになりました。

そこそこの出版社で3000部とか印刷してすぐに重版がかかる本は、3000部がぜんぶ売れたから重版するんじゃなくて、市中在庫で1000部とかは少なくとも必要なのを見越して重版するんです。書店流通が中心のモデルだと、生きていて売れ行きが好調な本ほど市中在庫を意識しないといけなくなる。Amazonで品切れになっちゃてみんながわーってなるのは、みんなAmazonで買うけど、書店の市中在庫Amazonにまわすわけにはいかないから。あとはわかりますよね。

もちろん、技術書というのは電子書籍も動くジャンルだし、それを含めてトータルで3000人の個人がお客さんになってくれるだけの知名度をもつ著者はいるけど、それでも紙の本を3000人の個人に届けるという仕事は、実際にそういう出版社をやっているわけだけど、やっぱり大変だなあという感情しかない。大変です。大変だから、アマゾンや取次が4割を持っていくけど、ほとんどの出版社はみんなそうやって本を売っている。まじめに広報が機能してない出版社があるという話と(あります)、出版社の編集者に話がわからないやつがいるという話と(います)、執筆者が自分で流通までできるよという話と(できます)、それらが1つの記事にまざっていて結論っぽいものが導出されているので、少なくとも部数についてはあんまり真に受けてしまう人が増えないでほしいなあ。