golden-luckyの日記

ツイッターより長くなるやつ

昨晩、『コンビニ人間』という原作の存在を知らずになぜか買って積読していた“Convenience Store Woman”を一気に読んだ。英訳されたほうを読んでよかった。たぶん日本語だったら中盤でつらくなって、短い小説だけどきっと挫折していた。

この小説で主人公は、コンビニ店員として生きていることに不満がない、というかむしろコンビニ店員に生きがいを感じているんだけど、同時にそのマインドは周囲からは決定的な社会性の欠如であり欠陥だと見なされている。主人公のマインドは、任意の専門職における「一生現場で働きたい」とまったく同じだ。それが「コンビニ店員」という非正規雇用しか選択肢がない業界であるばかりに、どんなにプロフェッショナルであっても、社会的弱者と同義にされ、それに甘んじているダメな人間という扱いしか受けない。もちろん、勤務先のコンビニでは圧倒的な戦力なので評価はされているんだけど、ある事件をきっかけに、その勤務先にも社会性による評価軸が持ち込まれてしまう。

あらすじはWikipediaに書いてあるのでネタバレにならないと思うのだけど、主人公はいろいろあって最後にはコンビニ店員として生きるという決断をする。日本語で読んでいたら、暢気な主人公を追い込む周囲の人間の描写で細かいニュアンスが読み取れすぎて、おそらく最後まで読み進められなかったような気がする。とくにバーベキューパーティーと終盤の職場の登場人物たちは、「汎用の社会性よりもプロフェッショナリズムを好む人間の日常のすぐ隣に潜むウェイ」という恐怖がにじみ出ていて、外国語で読んでいても泣きそうになった。もちろん、そういう描写があるから主人公の最後の決断がいきるとはわかっているけど、やはりきつい。